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糖尿病

I.糖尿病とは

糖尿病とは、高血糖(血液中のブドウ糖レベルの上昇)状態が続く病気です。

これは、すい臓から分泌されるインスリンの作用が十分でない為に、血液中を流れるブドウ糖が増えてしまうことで発症します。通常は、血糖値が高くなると、インスリンの働きによって血糖値は正常値に戻ります。

しかし、インスリンの作用がうまく働かずに、長い間、高血糖の高いままでいると、血管が傷つき、全身にさまざまな影響が出てきます。

糖尿病は主に、以下の2つのタイプがあります。

Ⅰ型糖尿病

膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島と呼ばれる部分にあるβ細胞が障害されてインスリンを産生できなくなった結果、高血糖状態が続きます。通常、子供や青年など、若い年齢で発症し、インスリン注射やポンプを使用して血糖レベルをコントロールする必要があります。

Ⅱ型糖尿病

通常、成人や高齢者に見られるタイプで、遺伝的な要因に運動不足や食べ過ぎなどの生活習慣が加わって発症すると考えられています。インスリンは分泌されているものの、身体が正しくインスリンを利用できないために発症します。適切な食事、運動、薬物療法、必要に応じてインスリン注射が治療法として用いられます。

厚生労働省による令和元年「国民健康・栄養調査」によると、2型糖尿病は、男女共に30~40代で増加し始め、年齢が上がるにつれてかかりやすくなります。

また、糖尿病が強く疑われる者の割合は、男性は19.7%、女性は10.8%と言われています。

出典:厚生労働省 令和元年「国民健康・栄養調査」の結果

 

II.糖尿病の初期症状

糖尿病には、初期では目立った症状はありません。しかし、次のような自覚症状が出たら、早めの受診をしましょう。

代表的な自覚症状

  • 喉の渇き(口渇):常にのどが渇いている感じがあり、水分を欲することがあります。
  • 頻尿:多くの尿を出たり、夜中に何度もトイレに行くことがあります。
  • 疲労感:疲れやだるさを感じることがあります。
  • 体重の変化:体重が急激に増加または減少することがあります。
  • 飢餓感:食欲が増しているか食べた後に満腹感を感じにくいことがあります。
  • 視力の低下:視界がぼやけていたり、焦点を合わせにくい場合があります。

など

 

III. 糖尿病の予後

糖尿病の予後は、合併症の進行次第で決まります。

糖尿病の合併症には、三大合併症と呼ばれる「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」「糖尿病神経障害」や、心臓病や脳卒中、動脈硬化などがあります。

ただし、適切な治療と生活習慣の改善により、糖尿病の進行を遅らせたり合併症のリスクを低減することができます。定期的な医師の診察、血糖値のモニタリング、食事の管理、適度な運動、体重管理、禁煙などが重要な対策です。

また、糖尿病自体には、目立った初期症状がない為、気が付いた時には合併症が進行していることがあります。定期的な健康診断の受診がお勧めです。

 

IV. 糖尿病の原因

1型糖尿病の原因

  • 体質(自己免疫に寄って生じます)
  • 何らかの原因で、インスリンを作るすい臓の細胞が壊されることで、インスリンを作ることが出来なくなってしまった

など

2型糖尿病の原因

  • 遺伝:特定の遺伝子の変異や家族歴が、糖尿病のリスクを高めることがあります。
  • 高脂質食などの過食:高カロリー、高脂肪、高糖質の食事や栄養バランスの欠如は、糖尿病のリスクを高める可能性があります。
  • 肥満:過体重や肥満は、糖尿病のリスクを増加させる要因とされています。過剰な体重は、インスリンの効果を妨げることがあります。
  • 健康状態や生活スタイル: 高血圧、高コレステロール、運動不足、喫煙、ストレスなどの要因も、糖尿病のリスクと関連しています。

など

 

V.どういう人がなるか

日本人の糖尿病患者の多くは「Ⅱ型糖尿病」です。

以下に当てはまる方は、糖尿病にかかる危険性が高いので、注意が必要です。

  • お菓子やジュースが好き
  • 脂っこいものをよく食べる
  • 肥満体質
  • 外食が多い
  • 歩くことが少なく、運動不足
  • お酒を飲む量が多い
  • たばこを吸う
  • 睡眠不足
  • ストレスを抱えている
  • 家族や親戚に糖尿病の人がいる

など

 

VI. 検査方法

糖尿病の診断には、以下のような検査があります。

 

血糖値の検査

早朝空腹時血糖値の測定

検査当日の朝食を食べずに採血をして、血糖値を測定します。

早朝空腹時血糖値が126mg/dl以上の場合は、糖尿病と診断されます。

随時血糖検査

食事時間に関わらず、食後に上昇する血糖値を測定します。

随時血糖値が200mg/dl以上の場合は、糖尿病と診断されます。

ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)

空腹時にブドウ糖を飲み、30分・1時間・2時間毎に採血をして、血糖値を測定します。

75gOGTT2時間値が200mg/dl以上の場合は糖尿病と診断されます。

食後血糖検査

食後、一定時間経過した時の血糖値を測定し、早朝空腹時血糖値の測定では把握できない食後高血糖について調べます。

食後高血糖は、食事後の血糖値が異常に高くなる症状で、一般的な健康診断では見逃されやすく「隠れ糖尿病」とも呼ばれます。

食後高血糖を放置してしまうと、2型糖尿病を発症するリスクが高くなり、動脈硬化や心筋梗塞などのリスクも高くなります。

<食後高血糖の診断基準>

食後1時間後の血糖値:180mg/dlを超える場合

食後2時間後の血糖値:140mg/dlを超える場合

 

血糖値以外の検査

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)

HbA1cとは、赤血球の中に含まれるヘモグロビンの中で、ブドウ糖と結合した割合(%)を表します。血糖値が高いほど、ヘモグロビンに結合するブドウ糖も増えます。また、糖化したヘモグロビンは、赤血球の寿命である120日間生存する為、当日の食事や運動などの影響を受けず、過去1~2カ月の血糖の状態を知ることができます。

< HbA1c(NGSP)基準値>

適正基準値:4.6~6.2%

糖尿病の疑いを否定できない:6.0~6.4%

糖尿病の可能性が高い:6.5%以上

インスリン値測定 

インスリンの分泌を調べる検査には、2つの方法があります。

①血中インスリン検査

インスリンは、すい臓のβ細胞から分泌され、血糖値を調節する働きがあります。インスリン値測定では、採血によって、血液中のインスリンの分泌量を測定し、インスリンがすい臓で正常につくられているかなど、分泌機能の状態を調べます。

血糖値と一緒に測定することで、血糖値は高いがインスリンの分泌量が少ない状態(分泌能の低下)や、インスリン値は高いのに血糖値が下がらない状態(インスリン抵抗性)など、糖尿病のより深い状態まで知ることができます。

②Cペプチド検査

すい臓のβ細胞では、インスリンの分泌時に「Cペプチド」というたんぱく質もつくられます。Cペプチドは、血液中でつくられ、尿中に排出されます。その為、尿検査でCペプチドを測定することで、すい臓から出たインスリンの量を測定することができます。

 

VII.糖尿病の治療方法

糖尿病の基本的な治療方法は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」です。

 

①食事療法

全ての2型糖尿病と、糖尿病の疑いがある人に必要な治療方法です。

食事療法を行うことで、インスリンの分泌能力を改善し、血糖値を適切にコントロールすることを目的とします。

以下のポイントを守りながら、正しい食事療法を継続することが大切です。

糖尿病の食事療法のポイント
  • 1日あたりの適正なエネルギー量を計算して、その範囲内で食事をする
  • 栄養バランスの摂れた食事をする
  • 規則正しい時間に食事を摂る

 

②運動療法

食後の運動による血糖値のコントロールや、筋肉の活動量を増やしてインスリンの働きを改善する治療方法です。

2型糖尿病の原因のひとつに、肥満や運動不足があります。運動療法を用いることで、エネルギー消費を促し、肥満や運動不足を解消します。また、運動することにより、ストレス解消にも役立ちます。

主な運動療法の種類
  • 有酸素運動:ウォーキング、ジョギング、水泳など
  • レジスタンス運動:腹筋、ダンベル、腕立て伏せ、スクワットなど

 

③薬物療法

1型糖尿病にはインスリン注射が必須です。一方、2型糖尿病は、食事療法と運動療法を2~3ヵ月継続しても、血糖値のコントロールが十分ではない場合に、薬物療法を開始します。

薬の種類は症状に合わせて、経口剤(飲み薬)やインスリン注射などが処方されます。薬の処方後も、食事療法と運動療法は必ず継続しましょう。

注射薬療法
・インスリン製剤

インスリンそのものを直接補充することで、血糖値を下げる治療方法です。インスリンの種類には、超速攻型、速攻型、混合型、配合溶解、中間型、持効型溶解があります。

超速攻型:食前に注射し、血糖値の上昇を抑えます。注射後すぐに効果が現れ、作用時間が最も短いことが特徴です。

速攻型:食前に注射し、血糖値の上昇を抑えます。注射後、約30分で効果が現れ、超速攻型と比べると、作用時間は緩やかです。

混合型:超速攻型もしくは速攻型インスリンと、中間型インスリンの混合製剤です。食事に合わせて注射します。

配合溶解:超速攻型インスリンと持効型溶解インスリンの混合製剤です。インスリンの追加分泌と、基礎分泌を補います。

中間型:1日中の決まった時間に注射し、インスリンの基礎分泌を補います。緩やかに効果が現れて、作用は約24時間持続します。

持効型溶解:1日中の決まった時間に注射し、インスリンの基礎分泌を補います。中間型よりも長く作用し、24時間安定した効果が期待できます。

・GLP-1受容体作動薬

「GLP-1」とは、食事摂取などの刺激により、消化管から分泌されるホルモンです。

GLP-1受容体作動薬は、食後の血糖値の上昇を感知し、すい臓に作用してインスリンを分泌し血糖を下げます。空腹時には作用しません。※飲み薬もあります。

 

経口剤(飲み薬)
・スルホニル尿素薬

インスリンの分泌を促し、血糖を下げます。

速攻型インスリン分泌促進剤

速やかにインスリンの分泌を促し、食後高血糖を改善します。

・イメグリミン

ミトコンドリアへの作用を介して、インスリンの分泌を促します。また、インスリン抵抗性を改善作用があります。

・DPP-4阻害薬

血糖値に応じてインスリンの分泌を調整して、血糖を下げます。

・ビグアナイド剤

肝臓が糖をつくりだす働きや、消化管からの糖の吸収を抑えます。また、すい臓以外に作用してインスリンの分泌を高め、血糖を下げます。

・チアソリジン剤

脂肪細胞や筋肉、肝臓などに働きかけることで、インスリン抵抗性を改善して、血糖を下げます。

・αグルコシダーゼ阻害剤

小腸からの糖の分解を抑えることで、食後の高血糖を抑えます。基本的に、食前に服用します。

 

VIII.当院の対応可否

当院でも糖尿病の検査や治療を行うことが可能です。院長はこれまで多くの糖尿病の治療経験を有しています。また必要に応じて連携している高次医療機関へのご紹介も可能です。

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