不整脈
I.不整脈とは
不整脈は、心臓の鼓動が通常のリズムや頻度でなくなる状態を指します。正常な心臓の鼓動は一定のリズムで行われますが、不整脈では鼓動が速くなったり遅くなったり、または不規則になったりします。不整脈は一時的なものから持続的なものまでさまざまな種類があり、症状や深刻度も個人によって異なります。ただし、ほとんどの場合、不整脈は危険ではなく、健康な人でも生じることがありますし、治療や管理が可能です。
ただし、特定の状況や他の心疾患と組み合わさることで、重篤な問題を引き起こすこともありますので、医師の診断と適切な治療が重要です。
不整脈は、60歳を過ぎた頃から増加傾向にありますが、近年では若年層の不整脈も目立ちます。男女比では、女性と比べて、男性の方が発症する確率が高いことが特徴です。
II.不整脈の初期症状
不整脈の初期症状には、下記のものがあります。
- 動悸
- 息苦しさや、胸の違和感
- 脈が飛ぶ感覚がある
- 軽度のめまい
- 意識がとびそうになる
これらの初期症状が見られる場合は、早めに医師の診断を受けることが重要です。不整脈は人によって自覚症状の程度が異なりますので、異常を感じた場合は医師に相談してください。
III.不整脈の予後
ほとんどの場合、不整脈の予後は良好です。ただ、特定の不整脈の中には、生命を脅かす重篤な状態を引き起こす可能性があるものもあります。しかし、これらの状態でも早期の診断と適切な治療により、多くの患者が良好な予後を見込むことができます。
一部の不整脈は、基礎となる心臓疾患や他の健康問題と関連している場合があります。その場合、予後は基礎となる疾患の進行や管理によって大きく影響を受けることがあります。例えば、冠動脈疾患や心不全などの症状がある場合、これらの疾患が適切に管理されることで不整脈の頻度や重症度が軽減され、予後も改善されることが期待されます。
一部の不整脈は持続的かつ慢性的な状態であり、完全な治癒が困難な場合もあります。これらの場合、症状の管理や予防的な治療により、予後を改善することが目指されます。
IV.不整脈の原因
不整脈の主な原因には、以下のものがあります。
- 心疾患(心筋梗塞・心不全・冠動脈疾患・先天性心疾患)
- 加齢
- 不規則な生活習慣
- ストレスを抱えている
- 疲労
- 睡眠不足
など
V.どういう人がなる
不整脈が出やすい人の傾向として、以下のものがあります。
- 肥満体質(BMIが高い)
- たばこを吸う習慣がある
- アルコールを飲む習慣がある
- 心疾患がある
- 高血圧
- 肺に疾患がある
- 甲伏線異常がある
- 睡眠時無呼吸症候群がある
- 糖尿病である
など
VI.検査方法
不整脈の診断には、以下の方法があります。
安静時12誘導心電図検査
12か所に電極をつけることで、心臓の動きを記録して、脈の乱れを調べます。不整脈の種類の判別に用いられます。
24時間ホルタ―心電計
携帯型の小型心電計を使用して、1日の心臓の動きの変化を調べます。日常の中で発生する不整脈を記録します。
運動負荷心電図
運動をして、心臓に一定の負荷をかけながら心臓の筋肉の変化を観察・記録します。
運動負荷心電図には、マスター負荷検査(階段の昇降により負荷をかける検査)とトレッドミル負荷検査(ベルトコンベアーやトレッドミルの上で運動をする検査)の2種類の方法があります。
心エコー(心臓超音波検査)
超音波を利用して心臓機能の状態を調べます。例えば、心筋の動き、厚みや形、弁の状態などを確認します。
胸部X線検査(レントゲン)
胸部X線は、不整脈の直接的な検査ではありません。しかし、心臓の大きさ(心陰影)の確認や、心不全の際には、胸に水が溜まっていないかを確認することができます。
血液検査
不整脈は、貧血や甲伏線機能亢進症が原因で起きる場合があります。その為、血液検査では、甲伏線ホルモンなどを測定します。
VII.治療方法
不整脈の主な治療法には「薬物療法」「カテーテルアブレーション治療」「デバイス治療」があります。
薬物療法
不整脈の薬物療法に用いられる薬剤は以下のものがあります。
抗不整脈薬
⇒不整脈に対する薬です。危険な不整脈や、発作の起きやすい不整脈の場合に服用します。
β(ベータ)遮断薬
⇒アドレナリンを遮断することで心拍数や血圧を低下させ、不整脈を改善します。
カルシウム拮抗薬
⇒不整脈における頻脈などを改善します。抗不整脈作用を有するカルシウム拮抗は、ペラパミル(ワソラン)やジルチアゼム(ヘルベッサー)です。
抗凝固薬
⇒血液をサラサラにすることで、脳梗塞の原因となる血栓の発生を予防します。
など
カテーテルアブレーション治療
カテーテルアブレーション治療とは、不整脈の原因となる異常な回路や部位を、焼却(アブレーション)して、不整脈の根治を目指せる治療方法です。
カテーテルを太ももの付け根から血管を通り、心臓に挿入します。カテーテルの先端から高周波の電流を流して焼却します。
デバイス治療(ペースメーカ・ICD)
デバイス治療とは、ペースメーカやICDなどの機器を体内に植込みすることで、心臓の電気異常を治す治療方法です。
不整脈の中でも、脈が遅くなる徐脈性不整脈には「ペースメーカ」を使用し、脈が速くなる頻脈性不整脈に対しては「ICD(植込型除細動器)」を使用します。また、重症心不全に対しては「CRT(心臓再同期治療)」をするなど、不整脈の種類に応じて治療を行います。
VIII.当院の対応可否
当院は循環器領域に精通している医師がおり、不整脈の各種検査・治療を行うことが可能です。