肝機能障害(脂肪肝)
I.肝機能障害(脂肪肝)とは
肝機能障害とは、何らかの原因で肝臓に炎症が起こり、肝機能の数値が高くなる状態です。肝機能障害の代表的な原因は、以下の3点です。
・ウイルス性肝炎(B型・C型)
・脂肪肝
・薬物の副作用やアルコール摂取
昨今は、食生活の欧米化や過剰な栄養摂取により、脂肪肝を原因とした肝機能障害が増加傾向にあります。
脂肪肝とは、肝細胞の5%以上の脂肪が蓄積されている状態です。摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると、余ったエネルギーが中性脂肪として肝細胞内にたまっていきます。脂肪がどんどん蓄えられることで、脂肪肝を発症します。
脂肪肝は「飲酒をする人に多い病気」というイメージがありますが、飲酒を全くしない場合でも、過度なダイエットやリバウンド、運動不足などの生活習慣の乱れによる脂肪肝が認められています。また遺伝が原因で発症することもあります。
II. 肝機能障害(脂肪肝)の初期症状
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれており、脂肪肝においても目立った初期症状はありません。しかし、脂肪肝になると血流が悪くなり、全身の細胞に十分な酸素や栄養がいきわたらなくなります。そのため、以下の症状が出る場合もあります。
- 疲れやすくなる
- 肩がこる
- 頭がぼーっとする
- 足がむくみやすくなる
- 黄疸がでる
など
このような症状が現れた場合は、肝機能障害(脂肪肝)の症状が進行している可能性がありますので、医療機関を受診しましょう。
III.肝機能障害(脂肪肝)の予後
肝機能障害(脂肪肝)を放置すると、肝細胞の破壊や炎症(肝炎)により、肝硬変や肝臓がんに進行するリスクが高くなります。
しかし、肝硬変に至る前に適切な治療を受けることで、完治も十分可能になります。健康診断や人間ドッグで肝機能障害や脂肪肝を指摘された場合は、放置せずに早めに受診することが大切です。
IV.肝機能障害(脂肪肝)になる原因
脂肪肝の3大原因は、以下の通りです。
- 肥満
- 糖質の過剰摂取
- アルコールの過剰摂取
肝機能障害(脂肪肝)は、「アルコール性脂肪肝」と「非アルコール性脂肪肝」に分類されます。それぞれの主な原因は以下の通りです。
<アルコール性脂肪肝の原因>
- アルコールの過剰摂取
アルコールの適量は、アルコール40~50ml/日です。(目安:日本酒3合、ビール大瓶2本)
<非アルコール性脂肪肝の原因>
- 肥満
- 糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病
- ストレス
- 運動不足
など
出典:全国健康保険協会 脂肪肝
V. 肝機能障害(脂肪肝)の検査方法
健康診断などで肝機能に異常が見つかった場合に行われる、肝機能障害(脂肪肝)の精密検査方法は、以下の通りです。
・血液検査
AST(GPT)やALT(GOT)の数値を調べます。脂肪肝の場合は、AST(GPT)の数値が上昇します。血液検査だけでは、脂肪肝と判断することは難しいため、腹部エコー検査なども行います。
・腹部エコー検査
肝臓や胆嚢など、肝臓の状態を詳しく調べます。特に脂肪肝の場合は、自覚症状がない場合でも、エコー検査では脂肪が映るため診断しやすくなります。
精密検査を行うことで、脂肪肝以外の肝機能障害を見つけることもできるため、早期受診や定期的な検診をおすすめします。
VI.肝機能障害(脂肪肝)の治療法
脂肪肝の治療には、生活習慣の改善が重要です。主な脂肪肝の治療法は「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つで、特に初期治療では「食事療法」と「運動療法」が中心となります。
<食事療法のポイント>
- アルコールの摂取量を控える、または禁酒をする
- 栄養バランスの良い食事を心掛ける(脂質・糖質の多い食事は控える)
- 間食を控える
- ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂る
など、栄養バランスに気を付けた食事をしましょう。
<運動療法のポイント>
- 1日20分以上の有酸素運動(ウォーキングやジョギング、水泳など)
- 会話を続けられる程度の運動を週3日以上
食事療法と運動療法を継続しても、効果が十分でない場合に「薬物療法」を行います。
<脂肪肝の薬物療法に用いられる薬>
- 糖尿病が合併していない場合:ビタミンE(抗酸化剤)
- 糖尿病を合併している場合;糖尿病治療薬(ビオグリタゾン、メトホルミンなど)
- 脂質代謝異常症を合併している場合:脂質代謝異常治療薬(スタチン系薬剤、エゼチミブな、フィブラート系薬剤)
など、合併している疾患に合わせた薬物を使用して、治療を行います。
VII.当院の対応可否
当院でも肝機能障害(脂肪肝)の検査や治療を行うことが可能です。多くの診療実績がございますので、健康診断などでご心配な方はお気軽にご相談ください。