メニュー

貧血

貧血について

〜なんとなく体がだるい…それ、貧血が原因かもしれません〜

 

Ⅰ. 貧血とは

「貧血」という言葉は日常的にもよく使われますが、医学的には血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、体に十分な酸素が行き渡らない状態を指します。ヘモグロビンは、赤血球の中にある酸素を運ぶためのタンパク質で、これが不足すると全身が酸素不足となり、さまざまな不調を引き起こします。

貧血は、女性や高齢者に多くみられる一方で、症状に気づかず放置されがちです。しかし、慢性的な疲労感やめまいの裏に、重大な疾患が隠れていることもあるため、正しい知識をもって早めに対処することが大切です。

 

Ⅱ. 貧血の種類

貧血にはいくつかの種類がありますが、最も一般的なのは以下の3つです。

 

  • 鉄欠乏性貧血

日本人に最も多いタイプの貧血で、鉄分が不足することでヘモグロビンが作れなくなる状態です。月経、妊娠・出産、偏った食生活、消化器の出血(胃潰瘍や大腸ポリープなど)が原因になることがあります。

 

  • 巨赤芽球性貧血

ビタミンB12や葉酸の不足により、赤血球が正常に作られなくなるタイプの貧血です。悪性貧血とも呼ばれ、胃の手術歴がある方や高齢者に見られることがあります。

 

  • 溶血性貧血

赤血球が何らかの理由で通常より早く壊れてしまう状態です。自己免疫や感染症、遺伝的な病気が関与することもあります。

 

Ⅲ. 貧血の症状

貧血の症状は、酸素が全身に十分に届かなくなることで起こります。疲れやすい、だるいといった一見「体調不良」と思われる症状が、実は貧血によるものであることも少なくありません。

 

主な症状:

  • 全身の症状
    疲れやすい、倦怠感、動悸、息切れ、立ちくらみ、めまい、頭痛、集中力低下
  • 見た目の変化
    顔色が悪い、唇やまぶたの裏が白っぽい
  • 筋力・運動面の症状
    階段がつらい、少し動いただけで息切れする
  • 女性特有の症状
    月経過多や妊娠中の鉄分不足に起因する貧血が多く見られます
  • その他
    冷え性、手足のしびれ、舌がヒリヒリする、爪が割れやすいなども貧血のサインです

症状が進行すると、日常生活に支障をきたすだけでなく、心臓に負担がかかり心不全の原因になることもあります。軽視せず、早めに医療機関で相談しましょう。

 

Ⅳ. 血の治療方法

貧血の治療は、まず原因の特定とその改善が最も重要です。そのうえで、不足している栄養素を補い、体の機能を正常に戻すことを目的とした治療を行います。

 

  1. 原因疾患の治療

鉄欠乏性貧血の場合、胃潰瘍・子宮筋腫・痔・大腸ポリープなどからの出血が原因であることがあります。
このような場合は、貧血を治すだけでなく、出血源そのものを治療する必要があります。消化器内視鏡(胃カメラ・大腸カメラ)や婦人科受診が勧められることもあります。

 

  1. 食事療法

鉄分、ビタミンB12、葉酸などの栄養素を意識した食事を心がけましょう。

鉄分を多く含む食品:

  • 赤身の肉(牛肉・レバー)
  • 小松菜、ほうれん草
  • 大豆製品
  • しじみ、あさりなどの貝類

鉄はビタミンCと一緒に摂取することで吸収率が上がります。逆に、コーヒーやお茶のタンニンは鉄の吸収を妨げるため、食事直後の摂取は控えるのが望ましいです。

 

  1. 薬物療法(鉄剤など)

鉄欠乏性貧血の治療では、鉄剤の内服が基本です。

  • 鉄剤は1日1〜2回服用し、数ヶ月〜半年程度続けるのが一般的です。
  • 吸収されるまでに時間がかかるため、継続が大切です。
  • 副作用として、便が黒くなる・便秘・吐き気などが出ることがあります。

副作用が強い場合や、内服で効果が不十分な場合は注射による鉄補充(静注・筋注)も選択肢になります。

その他の貧血では:

  • 巨赤芽球性貧血:ビタミンB12・葉酸の補充
  • 溶血性貧血:免疫抑制剤、ステロイド、輸血などが必要になることもあります

 

Ⅴ. まとめ

貧血は「ちょっとした体調不良」と軽く見られがちですが、放置すれば重篤な疾患に発展するリスクもある病気です。とくに女性や高齢者、妊娠中の方は貧血になりやすいため、早めの血液検査・相談が大切です

 

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME